常時50人以上の労働者を使用する事業場は、その事業場専属の衛生管理者を選任する必要があります。この記事では、衛生管理者の資格についてご説明していきます。
衛生管理者になるには?
衛生管理者になるには、第一種衛生管理者試験または第二種衛生管理者試験に合格する必要があります。
※薬剤師・保健師は試験免除で、申請だけで資格を取得できます。医師は申請だけで資格を取得することはできませんが、衛生管理者資格がなくても事業場の衛生管理者になることができます。
衛生管理者 受験資格
主な受験資格として次の3つの条件があり、いずれかを満たしている人が受験できます。
①最終学歴が大学・短期大学・高等専門学校卒業で、かつ労働衛生の実務経験が1年以上ある人
②最終学歴が高等学校または中学校卒業で、かつ3年以上の労働衛生の実務経験がある人
③10年以上労働衛生の実務経験がある人
※受験資格は、第一種衛生管理者試験と第二種衛生管理者試験とで共通しています。
※第二種衛生管理者を取得している場合、第一種衛生管理者試験で一部の科目が免除されます。
衛生管理者 費用
第一種衛生管理者、第二種衛生管理者ともに試験手数料は6,800円(非課税、振込費用は別途必要)です。
試験日、会場
試験は各地域の安全衛生技術センター(全国7ブロックに分けられている)で、毎月1回~多いところでは5回行われています。
衛生管理者の試験内容は?
第一種衛生管理者、第二種衛生管理者ともに「関係法令(労働基準法、労働安全衛生法)」「労働衛生」「労働生理」の3つの科目から出題されます。
第一種衛生管理者
関係法令の問題は非有害業務関連が7問、有害業務関連が10問で計17問出題されます。労働衛生からの出題は非有害業務関連が7問、有害業務関連が10問で計17問です。労働生理からは10問出題されます。全ての出題数を合計すると44問、試験時間は3時間。
第二種衛生管理者
関係法令から非有害業務関連が10問、労働衛生からは非有害業務関連が10問、労働生理からは10問出題されます。※有害業務関連がなく、全30問です。試験時間は3時間。
衛生管理者の合格率は?
第一種衛生管理者試験、第二種衛生管理者試験ともに、科目ごとの正答率が40%以上、かつ全体の正答率が60%以上という合格基準が定められています。合格者数に定員はないため、この基準をクリアすれば合格です。
第一種衛生管理者試験の合格率
実施年度 | 受験人数(人) | 合格者数(人) | 合格率(%) |
---|---|---|---|
2014 | 53,111 | 29,922 | 56.3 |
2015 | 55,129 | 30,587 | 55.5 |
2016 | 61,500 | 28,003 | 45.5 |
2017 | 65,821 | 29,636 | 45.0 |
2018 | 67,080 | 29,631 | 44.2 |
第二種衛生管理者試験の合格率
実施年度 | 受験人数(人) | 合格者数(人) | 合格率(%) |
---|---|---|---|
2014 | 25,069 | 17,365 | 69.3 |
2015 | 25,716 | 16,983 | 66.0 |
2016 | 29,186 | 16,189 | 55.5 |
2017 | 31,537 | 17,302 | 54.9 |
2018 | 32,985 | 17,271 | 52.4 |
衛生管理者資格試験の難易度は?
出題傾向が変わってきたことなどから、合格率は年々下がってきています。しかし、しっかりと勉強すれば誰でも合格できる試験です。常時50人以上の従業員が従事する事業場で必置であり、多くの有資格者が求められていることからも、他の国家資格に比べ難易度は高くありません。
衛生管理者資格試験の勉強法
独学でも大丈夫か疑問を持たれる方も多いかと思いますが、衛生管理者資格試験は過去問が公開されており、市販されているテキストや問題集も多数あることから、独学でも十分合格可能です。しかし、重要語句や数値をただ丸暗記するのではなく、内容をしっかり理解しないと合格は難しいかもしれません。
どのくらいの期間の勉強が必要?
第一種衛生管理者試験に合格するには、一般的には100時間程度の勉強時間が必要と言われています。第二種衛生管理者試験の場合は、出題範囲が少し狭いこともあり、必要な時間は短くなります。
労働衛生、労働生理は理解しづらい内容も多く、独学よりも通信講座などを利用した方が効率的です。通信講座は他の国家試験ほど高くはなく、3万円前後です。以上、衛生管理者試験の資格や難易度、費用や合格率をまとめてみました。資格取得を目指す方の参考になれば幸いです。